いらないもの

友人が親しくしている住職さんは、寺を
お華の発表会や陶芸や絵の個展の会
場などとして、多目的に開放しています。
友人の知り合いに、歌はプロ級という人
がいて、その寺でミニコンサートをすると
いうので誘われました。

始まる前にトイレにと思い廊下に出ると、正面の壁に、人はこうあるべし、という意味の言葉
が書かれた紙が貼ってありました。トイレの中にも座った正面に、手を洗おうと洗面所に行く
と鏡の左右にも貼ってありました。人の動きに合わせて貼ってあるので、読むというよりは
読まされてしまうといった感じでした。会場の広間のあちこちにも貼ってありました。
コンサートが終わり、友人はトイレをすましてから出ようと言いました。家までは一時間ちょっ
と、でもあのトイレには行きたくないと思いました。私は大丈夫、玄関で待っているからと言っ
て広間を出ました。
来た時には気づかなかっただけのこと、玄関の下駄箱の上にも貼ってありました。
精神世界の道を歩む歩み方はいろいろ。貼られたそれらは私の歩む道には必要ないもの、
格言はもうたくさんと思いました。
玄関を出て、外で友人を待ちました。外の空気が澄んで見えました。