今はペットブームで、動物を飼っている家が多くなりました。
実家は私が子供の頃からいつもネコが飼われていて、ネコは友達でした。今も実家に行くと、
何代目かの二匹のネコが迎えてくれます。ネコもそれぞれ個性があり、可愛く一緒にいて飽
きません。
普通ネコは寝る時、頭と後ろ足をくっ付けて丸くなったり、手足を体の下に入れて座ったような
姿勢で寝ます。また夏の暑い時は、手足を長く伸ばして体温を放出する格好で寝ます。
ところが、実家のネコは時々人間のように上向きで寝ます。その格好と言ったら、もう笑うしか
ないでしょう、という姿です。しかもしっぽの先の毛は切られていて、長いしっぽの先は四角く
なっていますから、なんともおかしなネコの寝姿です。
しっぽの先の毛を切られているのには理由があります。このネコは、何年間前に一度行方不
明になり大騒ぎになりました。実家は田舎なので有線放送というその地域だけの局があり、
その電話回線で何度も呼び掛けてもらったり、定期的に地域新聞に載せたり、情報が入る度
に確認に行ったり大変でした。
ネコはそれから三ヶ月位経って、自分で帰って来ました。帰ったネコは痩せてもいなく、汚れ
てもいなかったので、どこかの家で飼われていたのではないかと言うことでした。この騒ぎが
あって、ネコ探しは、体の模様の特徴や性別では難しいことが分かったようです。そのネコが
行方不明になった頃はまだ写メールはありませんでしたし。
「これぞ、家のネコ」という特徴を持たせなければと考えた結果が、しっぽの先の毛を切ること
になったのです。ですから実家のネコは二匹ともしっぽの先が角砂糖のように四角くなってい
ます。これなら一目で家のネコと確かめられるという訳です。
私的には、ネコのしっぽはやっぱり自然な先細りがいいと思うのですが、ネコの身を案じる家
族の愛情を思うと余計なことは言えません。
しっぽの先3センチ位は毛だけですので、私たちが髪を切るようなものです。
しっぼの先の毛が伸び、先が丸くなりはじめると、お手入れと言われて、すぐに切られてしま
います。
姪は、家のネコは自分をネコだと思っていないらしく、人間だと思っているみたいと笑います。
それにしても動物がお腹を見せるとは。
いくらネコ好きな家族に可愛がられているとはいえ、動物として自分を守るという防衛本能は
あるでしょうにと思ってしまいます。
このおかしな寝方は、もう笑うしか手がありませんが、ネコはこの瞬間、失うものは何も無く、
何の不安も恐れも無く、安心しきって寝ているのでしょう。
自我から離れる恐怖も無く、何の欲望も持たず、このネコのように本当に開かれた心で瞑想
がしてみたいものです。