幸せ

地方の電車は、二人掛けの椅子が向かい合うボックス席が左右に並んでいるものがほとん
どです。乗った電車はすいていて、私は四人座れるボックス席に一人で座っていました。隣
のボックスに70代後半の女性が一人で座っていました。横にはエスパの袋が置いてありま
した。しばらくすると、同じ年格好の女性が乗って来て、その女性にここで会ったことに驚きな
がら、向かい合って座りました。二人のおしゃべりが耳に入って来ました。近所の人同士らし
く親しそうでした。後から乗って来た女性は、病院の帰りだと言っていました。先から乗ってい
た女性が、エスパに行って来たことのいきさつを話し始めました。昨日ご主人に服を買いに来
たという。でも買って帰った服は気に入らないというので、他の服と取り替えて来たという。ご
主人は自分の着るものはすべて奥さんにやってもらう人らしい。買って帰って気に入らない、
と言われることはたびたびあるらしく、そのたびに取り替えに来ているようでした。身に着ける
ものは、着る本人の好みもあるし、他の人がその人の気に入るものを選ぶのは難しいことです。
近々地区の旅行があり、それに着ていくものがない、とご主人が言っているという。家にはた
くさん服があるのにと愚痴をこぼしながら、私というものがいながら、変な格好をさせて出すわ
けにもいかないし、と言っていました。
時代、環境、関係、手段、役割、依存、不満など、いろいろが頭の中でくるくる回りました。
幸せになるってたいへんなこと、と自分を見ました。
本当の幸せを自分の中に求めて行きたい。